久しぶりに読書をしました。気持ちに余裕がなかったからといえば言い訳がましいですが、ここ数年活字から遠ざかっていました。(新聞は読んでます。)学生時代にジャンルを問わず乱読して得たものが今になり知識、血と肉となった結果今の自分があるので、その供給が途絶えれば当然源泉が枯渇してしまう。そんなことすら考えなくなってしまっていた自分に改めて気づき、何でもいいから読んでみたくなり、久しぶりに本屋に駆け込んだ。すぐに読み切れる厚さの本探しているうちに、三島由紀夫のコーナーに目が行った。自分にとっては作家というより壮絶な最期の印象の方が強く無意識のうちに避けていたが、「潮騒」という言葉が引っ掛かり意を決して購入しました。家に帰り読んでいくうちに、これは山口百恵と三浦友和が主演していた映画の原作であることに気が付いた。同時に「潮騒」「海女」「潮騒のメモリー」「あまちゃん」とキーワードが整理され、なぜ「潮騒」に引っかかったのか理解できた。このドラマの前に小説を知っていればもっと楽しめたなと思いました。内容は映画と同じなので新鮮味はありませんでしたが、随所に出てくる風景描写は活字だけで風景を思い描くことができ、表現力のすごさを感じました。。巻末の解説に、この作品は三島由紀夫の作品の中では特異な存在である旨の記述があり、ほかの作品がどのようなものかのか気になるので、他の読んでみたいと思いました。あと、川端康成、永井荷風、太宰治といった昭和の文豪とも繋がっているみたいで、それがどのようなものなのか紐解いてみるのも面白いです。
3月24日、「平成の三四郎」古賀稔彦先生が逝去したとのニュースがありました。仕事中だったので流していましたが、徐々に胸が痛くなってきました。同列に話すようなことではありませんが、私も中学・高校と柔道をたしなみ、現在地元の小学生に柔道の指導をしています。古賀先生は私と同い年・同じ階級(71kg級)だったので、全盛期だったバルセロナ・アトランタオリンピックの頃は感情移入して応援していました。中量級の体躯で無差別階級で行われる全日本選手権の決勝で敗れたときは悔しかったです。どんな体勢からも担ぎ上げて膝をつくことなく投げ切る背負い投げは、例え生まれ変わったとしても到達することのできないレベルのもので、試合を見ているだけで爽快な気分になったものでした。華々しい戦歴のまさにレジェンドですが、いつだったか全盛期を過ぎた頃に何かの国内大会に出場し予選落ちしたとのニュースを聞き、過去の栄光に縋りつかない古賀先生の柔道に対する姿勢に感動したことを思い出しました。古賀塾で師事されていた大学の先輩とSNSで塾のことを聞いたことがあったのですが、真摯でストイックで尊敬できる方でとのことで、塾生は皆柔道が好きだとのことでした。現在指導している子ども達もそうであってほしいです。享年53歳、早すぎます。ご冥福をお祈りします。